思い出したくない

昨晩、夜11時ごろ。

久々に早く布団に入れた私はスヤスヤ寝ていたのだが、誰かからの着信で起こされた。

母親だった。

「もう寝てるの!?はや!」などと言いつつ他愛もない話をする母。それを寝ぼけながらフンフンと聞いていた。

 

電話が終わり、さて寝るかと目を閉じたところで心臓が早鐘のように脈打っていることに気づいて、「ああ、寝てる時に急に電話きたらビビるよな」などと考えたりした。

 

ドキドキがなかなかおさまらず、なんでわざわざ電話かけてきたんだろう、とか、電話するなら日中にしてくれればいいのに、とか少しずつ母親に苛立ち始める。

でも、ここで苛立ってしまうと一気に目が冴えてしまう事を知っているので、努めて考えないようにした。

 

母親のことは今は考えないように、苛立たないように…次第にデジャヴを体験しているような感覚になってくる。

この感覚、前にも体験したことがある。なんだか分からないけど、思い出したくないことを思い出しそうだ。

 

既視感のような感覚はどんどん強くなっていく。呼吸が荒くなってくる。思い出したくない。思い出したくない。思い出したくない。

 

私の中の別人格の私が嫌な記憶を再体験している。そうだ、私はこの子と統合したいんだ。今までこの子に背負わせてきた悲しみを、私が引き受けなきゃいけないんだ。今思い出さなきゃ。

でも怖い。嫌だ。思い出したくない。思い出したくない。思い出したくない。

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや

 

気付いたら、私はいつものように大声で嗚咽を上げて泣いていた。

でも、いつものように「誰かが泣いているのを見ている」という感じではなかった。

明確に、私自身が過去の嫌な記憶から逃げたという自覚があった。

 

いつも別人格の小さい私に「もう背負わなくていいよ」と言っているのに。あたかもこの子が統合を嫌がっているかのように振る舞っているのに。

 

結局怖がっているのは私で、また今回も逃げてしまった。幼稚園かそこらの小さい子に全て丸投げして、拒絶して逃げてきてしまった。

 

あぁ、あの子は私のことを嫌いになったかも。やっぱり統合なんか無理だった、と思っているかも。

正直に言えば私自身、今回のことで統合なんて無理だと再確認してしまった。